こんちには房総イズムです。千葉で家づくりの人気のある立地が、海が見える場所です。

ただ、千葉県で海の見える立地を探そうとすると、意外と物件が少ないことに気づきます。加えて、見えそうな物件があったときには、高低差があったり、崖だったりしてしまいます。そこで今回は、高低差があったり、傾斜地であったり、崖があったりする場合の設計についてお話しいたします。

千葉で海が見える土地を探すと、なぜが高低差のある敷地ばかり紹介されてしまう理由

千葉で海の見える立地で土地探しを始めて不動産屋さんに問い合わせると、様々な情報をもらえます。いろいろ集めてみると、いいなぁ~と思う土地は高低差や傾斜地だったりする物件が多いことに気づきます。

これは、千葉県の土地の形状からわかってきます。

青地は工業地帯  赤字は海の見えるエリア

千葉県の海の見えるエリアは、海のすぐ横に県道や国道があり、すぐに山があります。つまり、海に面した平地が少なく、山を削った場所や、山の上に不動産物件が多く存在しています。特に富津~南房総までの内房地域は、県道127号線沿いに切り立った岸壁が多く平場の立地はすぐに売れてしまうのでなかなか、良い物件が見つかりにくいことも多いです。ただ、土地探しは一期一会なので、ふとした瞬間に良い物件に巡り合えるという事もあるのであきらめずに探してみましょう。

房総イズム流 高低差のある土地の判断基準

ただ傾斜地は、海の眺望が得られやすい物件が多いのも確か。また傾斜地は多くの方が敬遠するため、価格もリーズナブルなことも多くあります。

そこで房総イズム流ー高低差のある土地の判断基準をお話しいたします。

POINT① 土地の価格の安さは、建物ができるまでのコストで考える

高低差のある土地は、なんといっても価格が安い。そして眺めが良い。この二点が不動産としての価値です。一方、建築を建てる側からすると、普通の基礎工事では建築物を作ることができない為基礎の設計が高度になり、加えて造成工事も必要になるため、工事の難易度も上がり建築コストが増大する。

その為、土地の価格が安くても建築コストが高ければトータルのコストは上がってしまいます。もし資金に総額があるのであれば、土地の安さが、建築コストの増額分を超えない範囲であれば検討のするべき土地と判断します。

POINT② 崖を背負っている土地かどうか。

高低差のある土地の場合、購入検討土地の高低差以外に、隣地の敷地の高低差は非常に重要な選定条件になります。昨今の長雨や、集中豪雨で近隣からの土砂災害は出来る限り排除したいリスクポイントです。
購入予定の敷地が高低差のある敷地の場合、お隣の隣地も高低差がある可能性があります
その場合、まず、崖条例をクリアしているか。(高低差の角度が30度以下か、もしくは擁壁があるか)
隣地が盛り土で作られた造成地ではないか。(盛り土の場合、近年の開発許可を受けていれば、リスクは少ないが、古い造成地の場合は、現地確認が必須です)
この点を土地購入段階で検討しておきましょう

POINT③ 海を見たい方角は、想定に近いか

千葉県で海を見たい場合、
内房→西日+富士山
外房→朝日
館山→一部、北側の海
館山→白浜方面、南面の海
勝浦・御宿・鴨川→南東の海

東から西まで網羅できるのが千葉県の良いところ、海と行っても立地と方位によって景色は異なります

POINT④ 都心からの距離、横浜からの距離

房総イズムへのお問い合わせは、東京都、神奈川県からのお問い合わせが多くございます。その時、アクアラインを経由した到着時刻は重要になります。多くのご希望は、1時間から1時間半。そうなると富津が一つのポイントで、海の雰囲気を求めれば、さらに時間の掛かる、岩井、館山も選択肢に入ってきます。
朝日の海をご希望であれば、いすみ市も選定候補に挙がってきます

傾斜地や崖地がビルダーに敬遠される理由

傾斜地や、崖の設計が難しい理由に断面の設計が必須になりますが、多くの住宅の設計において重要視されるのは平面図です。間取り図と呼ばれるものです。

皆さんも見慣れている図面の一つです

高低差のある設計
高低差のある設計は断面図で考える

一般的な平面図には、高さ方向の情報は記載されておりません。その為、間取り図を作るだけでは建物の設計をすることができず、現地の測量などを行い計画を練る必要があります。平地に建てるよりも検討事項が多いので、敬遠される内容の一つです。

加えて、通常の家づくりでは、あまりない造成工事が必要になることもあります。外構工事も、土を削り取ったりする必要があるなど、様々なことを初期段から考えておく必要があります。

基礎の設計も、もちろん難しくなり、配筋が複雑になることで、通常の基礎屋さんでは対応しきれなくなることもしばしば。その場合は、造成工事や、難しい基礎工事が得意な業者に依頼しないといけない為、通常の住宅を建てる以上に手間がかかってしまうため、嫌煙される傾向があります。

高低差のある土地の設計上の検討ポイントは『玄関と駐車場』

まず高低差のある土地が、道路から見て上がっているか、下がっているか。

①道路から見て、高くなっている土地

この場合、建物をどの高さに設定するかがポイントになります。一階の高さを決めれば、玄関までのアプローチ計画ができます。道路より高くなっている土地の為玄関まで階段で上がる必要がありますが、時には、1階にたどり着くために、20段近く上がらなければならないといったこともあり、毎日、この階段の段差を登り続けることを許容できるかは選定ポイントになります。

道路から土地が上がっているという事は、駐車場をどこに設けるかも考えておく必要があります。駐車場は奥行きが6mほどあるので、場合によっては、駐車場の為に土地を切土する必要があり、そこに擁壁を設ける可能性も出てくるので、そういったコストを考えておく必要があります。

②道路から見て、低くなっている土地

道路から低くなっているという事は、上記同様、玄関までのアプローチを考えておく必要があります。今度は建物が道路よりも低いため、玄関を二階にするという考え方もあるでしょう

駐車場は逆に盛り土をすることも検討する必要がありますので、こちらもコストを考えておく必要があります。

つまり、土地選定していく段階で、高低差のある土地の設計のポイントは、玄関と駐車場配置。

第一段階の考え方はこの二点です

高低差のある土地の基礎の費用感

高低差のある土地で、安価な土地が見つかったとして、では建物の金額はどのくらい増額になるか。もちろん土地の高低差の条件や、建物の大きさ、基礎の設計の仕方によっても異なるので一概に言えませんが、400~600万円ほどプラスになると考えて予算計画をするとよいかと思います。これはあくまで目安ですが、一つの指針にはなると思います。

加えて、擁壁が必要かどうかも重要なポイントになります。別途擁壁が必要な場合は、さらにコストがかかってきます

加えて注意したいのが、高低差の種類。山を削っての高低差なのか、土を盛り土しての高低差なのかは確認しておきたいポイントです。盛り土の場合は、地盤の強度が足りずに地盤改良工事が必要になることもあります。

まとめ―高低差のある土地の選定基準

細々書きましたが、まとめると以下のようになります。

高低差のある土地の選定ポイント

  • 高低差がある土地はリーズナブルな一方、建築費が通常よりも掛かるため、土地建物で資金計画内で成り立つか検討する
  • 基本的に崖を背負っているときは辞めておく
  • 内房は西日の海になるので西日対策ができるか検討しておく
  • 都心からの距離感を把握しておく

高低差のある土地の設計と施工について

  • 高低差のある土地は、設計が難しくなるので、施工業者をしっかりヒアリングしてみる
  • 玄関までのアプローチ、駐車場等の外構計画も事前に確認しておく

高低差のある土地の建築コスト感の注意点

  • 高基礎や深基礎、段差基礎など回答方法はいつくかありますが、基礎工事だけで400~600万円ほど上がることが多い
  • 駐車場などのスペースを確保するために擁壁工事が必要な場合もあるので注意が必要
  • 盛り土の造成地は、地盤改良が必要な場合アリ
  • あまりに山地の場合、重機が入れないと搬入搬出に別途費用が必要になる場合アリ

 

追伸

高低差のある土地や傾斜地の場合、設計が難しくなるので、経験の少ない工務店はお客さんに『作りたい図面持ってきてもらえれば、それで作るよ』といわれることも多いようです。私の事務所にも、『工務店さんが図面もってきてくれればと言っているのですが、大丈夫でしょうか??』と聞かれることも結構な頻度であります。

2021年はウッドショックに加え、様々な材料が高騰しておりますので、建築費用は昨年よりも確実に上がっております。土地選定時に、建築コストも含め全体予算を調整しながら検討されることをお勧めいたします。