こんにちは、房総イズムです。
金谷の家も、屋根を葺いています。地元の瓦屋さんで仕事もしっかり安心です。

海に近くても屋根葺き替えの少ない、瓦

このお住まいは海沿いの為、施主の希望で瓦屋根を選定しています。瓦屋根は、最近は見かけなくなりましたが、重量が重いため、風の強い地域などでは今でも多く使われています。焼き物であるので、経年劣化はし難いのが大きな特徴の一つです。しかしながら重量が重いことは、耐震的には不利という事は良く言われます。
耐震的に不利と言うのは、普通の構造設計をすると、屋根が重いのでダメですが、しっかり重量を考慮して、耐震設計を行えば、他の屋根材と変わらない強度になるので、そこは設計者にお任せした方が良いと思います。

軒の出、ケラバの出

瓦の場合、一般的には軒の出とケラバの出が必要になります。屋根の大きさは、コロニアルなどとは異なり、瓦をなるべくカットしないように瓦の割り付けで決めるので、その寸法に合わせて、出寸法を決めます。

一般的には、母屋の上に垂木を掛けて、その上に野地板と言うように構成します。垂木の流れている方を[軒の出]、その直行方向を[ケラバ]と呼びます

母屋の梯子:富津市 金谷の注文住宅
母屋の梯子:富津市 金谷の注文住宅

屋根の流れる方向の軒の出は、垂木が伸びてくるので、薄くきれいに納まりますが、ケラバ側は垂木のサイズ+母屋の大きさも加わり、納まりが様々になります。母屋を見せるパターンもありますが、母屋の小口が雨ざらしになるので、傷みやすいです。そこを母屋鼻包みとして板金を用いる事もありますが、やはりコストが掛かります。大きな仏閣などや、豪邸などでは、この母屋包みも意匠的に映えますが、なかなか、個人邸でデザイン的に処理するのはむずかしい。。そこで今回は、ケラバ側を梯子を用いて同じ寸法でスッキリ納めるように工夫しました。

母屋の梯子②:富津市 金谷の注文住宅
母屋の梯子②:富津市 金谷の注文住宅

こうする事で外観もスッキリ納まります。大工さんは大変でしたけども・・・・・

防水材もこだわり、高分子オレフィン系樹脂ハイグレードルーフィング

瓦のルーフィング:富津市 金谷の注文住宅
瓦のルーフィング:富津市 金谷の注文住宅

見たことない屋根のルーフィングではないでしょうか。一般的には、アスファルト系の黒っぽい屋根のルーフィングを用いますが、今回は京都で修業した瓦屋さんお勧めの瓦専用のポリエチレン樹脂の防水シートです。

特徴は、

•ポリエチレン樹脂だから熱に強く、夏場の作業でも絶対にベタつかない。
•REVOシリーズはポリエチレン樹脂だから、夏場も冬場も柔らかく柔軟性があります。
•ポリエチレン樹脂だから、高耐久です。長期間において製品の品質を維持できる。
•表面の突起は、桟木を打ち付けても全く潰れません。
•REVO2・3・4は、キズリが付いているため、雨水の横走りを防止できます。
•REVO3・4の突起は3mmで形成されており、更に高い防水効果を持ちます。

地元の瓦屋根屋さんならでは、お勧め材料です。実際触ってみると、結構堅いです。瓦屋根専用なのですが、用途は限定されますが、かなり期待できる防水材だと思います。

余談ですが、瓦屋さんも、次の世代をどうしようか考えています。瓦もそうですが、どんな建物でもメンテナンスは必要ですが、そういった担い手がいなくなるのは、多くの民家の茅葺き屋根が、葺き替えが出来ない為板金で覆われたのと同じだと思いました。

追伸

瓦は、重量が重いため嫌煙され気味で、最近はめっきり数が減ってきました。海岸沿いの住まいでは、まだまだメリットの大きい素材です。一つ検討してみてはいかがでしょうか。。

台風被害による屋根葺き替え、補修の追記

台風の影響で、屋根の葺き替え需要が許容量をオーバーしています。
特に瓦職人は不足していて、更に材料である瓦も在庫が無い状態が続いています。また改修の為の足場も不足しているので、近県より応援に来てもらっている状態が続いています。

今回の富津の新築の住まいは、屋根の瓦が飛ぶ事はありませんでしたが、近隣からの飛散木材で、屋根が大きな損傷を受けています。自分の家の屋根が大丈夫でも、近所からの飛散物は避ける事が出来ません。

これが、地震災害と異なって、風害は様々な影響を及ぼしていることが良くわかります。

瓦に関しては、主に築30年以上の物件の屋根瓦が飛んでいるようです。ただ小さな竜巻が起きたところでは、新しい住まいの屋根も飛んでしまっているようです。

古いお住まいで、屋根の瓦の葺き替えが待てない状態である場合は、ガルバニウム鋼板という板金で屋根を葺きかえるという方法もあります。こちらであれば、現状瓦よりも早く対応できる可能性がありますので、もしご確認したい方がいらっしゃればご一報ください。