こんにちは、房総イズムです。
今回は新築を建てられる前に、ぜひ再考していただきたい「収納スペース」についてです。
収納スペースと言うと、おそらく多くの方が「多い方が良い」と仰います。たしかに後で作る方が難しいので、あらかじめたくさん作っておきたい気持ち、よくわかります。
しかし本当にそんなに収納スペース必要なのか。
今回の記事を読んでいただき、一考していただけると幸いです。
もくじ
■新築で人気のある収納スペース
収納が多い家。家の設計をする時は、大人気のキーワードです。
新築を注文住宅として建てる際に、多くの方が「収納スペースはたくさん欲しい!」とリクエストをいただきます。
特に人気のあるものとしては、
・ウォークインシューズクローゼット
・パントリー
・納戸
・小屋裏収納
などです。
収納スペースの数や広さがあればあるほど、「すごいね!」と言われるのですが、収納スペースの一般的な目安はどれくらいか、皆さんはご存知でしょうか?
■収納スペースの目安は「住宅床面積の20%」
一般的な注文住宅の設計では、収納スペースの目安は「床面積の20%」と言われています。この20%を住宅のあちらこちらに振り分ける、というわけです。
「子供部屋には一間の収納が欲しい。」
「主寝室にはウォークインクローゼット!」
「一階には、掃除機入れや食品庫も欲しい。」
などといったご要望を考慮し、収納スペースを適材適所に配置していきます。
しかし、どれだけの収納スペースをつくったとしても「満足した」と言われる事はほとんどありません。多くの住宅が「物」であふれ気味なのです。新築時は少なかった物も、年月と共にどんどん増えていきます。やはり、私たち人間にとって思い出の品というものは捨てるに捨てられないものなのです。とは言え、その思い出を収納するスペースにもコストがかかっていることを忘れてはいけません。(←ココが重要!!)
それでは、「収納にコストがかかる」ということについてご説明しましょう。
■収納スペースかかるコストとは?
収納スペースも、基本的に「タダ」ではありません。
皆さんは「坪単価」という言葉を聞いたことはありますか?
坪単価とは、簡単に言うと「1坪当たりにかかる費用」になります。仮に坪単価が70万円として、1坪分の収納スペースを作ったとすると「収納スペース=70万円かかっている」ということになります。(一概には言えませんが、イメージです)
それでは、よくある新築のケースで収納スペースに、一体いくらかかっているのかを見てみましょう。
【収納スペースの試算例】
・新築の注文住宅を建てると仮定
・30坪で坪単価70万円とする(都心に近い地域では、多少大き目の坪数ですね。)
・建物にかかる費用が2,100万円
・一般的な収納スペースの目安である20%を試算に入れる
上の項目を仮定とし、まずは収納スペースにどれくらいの広さを取っているのか見てみましょう。
30坪×20%=6坪(=12畳)
つまり、新築の内12畳の広さが収納スペースだということがわかります。
間取り上では各部屋に散らばっていますので、これだけの広さが収納に使われているとは思わないでしょう。しかし、いざまとめてみると「リビングほどの大きさになる」ということです。こうして考えると、非常に大きく感じませんか?
それでは、次に金額に換算してみましょう。収納スペースの価格、つまり荷物を置くためにかかるコストは……
6坪×70万円=420万円!!
なんと、モノの収納のために420万円も使っているのです。(あくまで概算です)
「収納スペースがたくさん欲しい」と仰る場合、20%を超えることもあります。
そうなると、より多くのコストがかかることになります。新築の建設費用の中で、物のためにこれだけ沢山のコストを使うと考えるとどうでしょうか?
これだけのコストがあれば、他にいろいろなことが出来そうですよね。
■新築を建てる前に……収納スペースを再考しよう
収納スペースは、あればあるだけ使ってしまいます。収納とはそういう場所なのです。
どんなに収納スペースを増やしたとしても、きっと足りなくなるでしょう。そして収納庫の中に入れた物の中には「もう使わない可能性が高い物」がたくさんあるはずです。
それでも「収納スペースが欲しい!」という場合には、小屋裏・床下・天井など、床面積を使用しない収納スペースを作ることも可能です。探せばたくさんの未使用空間があるはずです。
まずは、今の住まいの収納を整理してみましょう。
これだけコストのかかる収納スペース。生活する場所を削ってでも、いつか使うかもしれない物たちを収納しますか?
それとも、家族で使うスペースを増やしますか?
もう一部屋作りますか?
新築を建てられる前に、ぜひ再考してみてください。房総イズムでは、こうしたお客様のお悩みにも真摯に対応させていただきます。
【参考】
坪換算は目安です。収納スペースは空間なので、単純に坪単価分が下がるわけではありませんが、今回は「物を置く(=持ち続ける)ことで、これくらいのコストがかかっている」ということをお伝えしたく金額に変換しています。
追伸
昔に比べデジタル化して物は減っているのに、それでも収納の多い家は好まれます。少しアンチテーゼのようなお話ですが、「コストが限られているからこそ、物を整理してみましょう」というのが房総イズムからのご提案でもあります。
その分、キッチンにこだわるもよし、リビングの壁や床の材料にこだわるもよし、という訳で、もっと暮らしが豊かになることにコストを使ってみませんか?