こんにちは、房総イズムです。断熱材のご質問は大変多いので、すこし絞ってお話ししたいと思います。

まずは、現場発泡ウレタン断熱

現場発泡ウレタン断熱は、良いのでしょうか??

少し家づくりに詳しい方であれば、知っているかもしれません

吹き付けると、モコモコモコと現場で発泡します。その為、隙間の無い施工が安易に可能になるのです。断熱性能、気密性能の担保がしやすい断熱と言えます。

断熱工事において隙間なく施工する事が最も難しく、手間のかかる作業なので、その点施工のしやすい断熱材と言えます。

吹付発泡ウレタン

デメリットと言われる事について、設計のレベルでお話し致します。

①火事の時に燃えてしまう。 本当??

発泡ウレタンは火に弱い断熱材です。多くは、ウレタンフォームと空気で作る断熱材なので、やはり燃えやすい事は事実です。
しかし、実際火事の場合、壁の中まで火が侵入するまで時間があります。壁の中まで火が進入したのであれば、確かに燃えやすいという事は事実です。
壁の中に火が回るまでには、石膏ボードもありますし、そこまで時間が掛かります。
むしろ断熱材の燃えやすさを気にするのであれば、初期消火の対策をした方がより有効的だと思います。

例えば、消火栓を用意したり、住宅用火災報知器が壊れても良いように複数設置するとか、設置基準は最低基準なのでそれ以上の対策でもいいわけです。火に弱いという事であればそれなりの対応をすれば良いのだと思います

②次に、価格が高い! 本当?

これも15年前であればグラスウールの3倍や5倍するものもありましたが、今は現場発泡ウレタンは、流通量が多くなってきており、専門業者も増えて比較的安価になっています。 現場発泡ウレタンは専門業者が施工を行います。

グラスウール単体の商品価格だけで比べるとグラスウールの方が安価ですが、実際は専門業者ではなく大工さんが施工する事が多く施工費と言うものが、見えにくくなっています。

実際はグラスウールでも施工費用は掛かります。 そうやって比べるとすごく高い商品ではなくなってきています。

③木造とウレタンの相性

現場発泡ウレタン断熱は、吹き付けることで隙間なく施工が可能になった商品です。

一方、木は年月と共に痩せるので、その隙間で出てくるのであまり木材と相性は良くないです。。と良く言われます。

しかしながら、現在の、建築用木材は、人工乾燥技術の発達で、かなり状態の良い木材が流通しています。(ちなみに今はほとんど見なくなりましたが、一昔の木材は背割りと言うのが合ったのは、木材の経年乾燥で、木材の逃げ道を作っておくという理由からです。)

このような状況で、木材の隙間で、相性が良くないというのは早合点と言わざるを得ません。

ただ、私達が、注意してい事は、施工状態。

木材は、建物として使われるときが最も良い状態だとは限りません。たとえば施工時大雨に濡れた状態で、工期が迫っているからと言って、濡れた状態で断熱材を施工してしまうと、気密の取りやすいウレタン断熱の特性上、濡れた木材のままで、その湿気の逃げ道が無くなってしまいます。

高性能な断熱材で、あるが故、良い性能を作る為の、前提条件が多々あります。短納期で現場を造り上げる事は工事会社にとっては重要ですが、現場発泡ウレタン断熱を吹くタイミングはしっかり見極める事が重要です。

注意すべき工事方法

外壁の面材が無い状態の現場発泡ウレタン断熱

吹付ウレタンフォームは、何かに吹き付ける必要があるので、建物の外周部を面材で覆う必要があります。しかし、未だにローコストメーカーで面材なしで吹き付けている場合があります。この場合、防水紙に吹き付けているだけなので、はらんだり、垂れたりすることは必至。もちろん、そういった事にも配慮して工事をしていればいいですが、多くの場合はそんなことはありません。面材の無い場合は注意です。

グラスウールは、なぜ悪評が多いのか!

これも良く聞かれる質問です。

皆さんの良く知っている断熱材では、GW(グラスウール)があります。ガラス繊維系の断熱材で、最も日本では流通しているものです。ロックウールの写真もありますが、近い繊維系の断熱材なので掲載しています。細かく話すと異なるのですが。。。

高性能グラスウール

流通している理由としては、価格が最も安価でどこでも手に入る断熱材であるから。しかも大工さんでもできる施工であります。

しかしながら、一般的にグラスウールの評判は、あまり良くなく、グラスウールって大丈夫ですか?と聞かれます。

評判の悪い理由-施工精度の悪さと、壁体内結露の写真の多さ

間違えないで欲しいのは、グラスウールが悪いのではなく、施工精度の悪さがこのような悪評を広めています。それに加え、グラスウールやロックウールという断熱材は長年使われていて、まだ施工方法の確立していない時代の建物をリフォームすると、壁体内結露で黒ずんでいることが多くあります。そういった写真が出回っていることも原因と考えられます。

実際、今では、断熱工事+気密工事はセットでデザインするのですが、一昔前は、断熱材を置くだけで、湿気の対策など全く行っていませんでした。

築40年のリフォーム現場のグラスウール写真

上記の写真の様に紙パックで包まれたグラスウールです。気密工事も、隙間なく埋めるという工事も行われていませんが、この住宅は、建築家の設計した、高級な住宅です。当時高級な住宅だからこそ、断熱材が使われていました。しかし当時は、断熱に関して情報も乏しく、このような施工は膨大にありました。


結果的に、暖房機器の性能が上がり、室内環境が良くなれば、壁体内結露も多くなります。

その結果、グラスウールのこういった写真が多いと言えます

近年も、グラスウール自体は、安価であるため、建売や分譲住宅でも多く使われています。未だにしっかり工事監理が出来ていない場合が多く、施工精度の悪さが見受けられます。このような事は、リフォームを行うと一目瞭然でわかります。施工精度のポイントは、内部に湿気を入れない、貯めない、そういった工事が必須になります。

ロックウールですが、こういった防湿層のついた商品が一般的です。

しかし、逆を言うと、施工がしっかりしていれば、安価で、断熱性能も上げっているグラスウールは使いやすい材料の一つという事が出来ます。

追伸

断熱材の良し悪しと言うのは、ほぼ、施工精度や施工難度による所が大きいと感じています。結局のところ、グラスウールやロックウールは歴史がある為、その分問題も発生していたのでしょう。もちろん性能値や、施工性の差はあるでしょうが、コストなども勘案して理解する事が大切なのではと思います。一概にどれが良いとは言う事が出来ないのが、現場からのお話です。