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メーカーの想いからわかる、新築の窓の選び方と、コストバランス

出来るだけ高性能な新築を建てたい。  でも予算以内で家を建てたい。

皆さんが思うことは同じです。今回の工場見学で案内していただいたLIXILの担当者に、普段はなかなか聞けない質問をぶつけてみました。

窓の性能から見る選び方

どうしてもコストがかかる断熱性の高い樹脂サッシと、どのように向き合えば良いのでしょうか?そのあたりをぶつけてみます。

Q1:設計
高性能な断熱住宅を作る時には、やはりスペックの高いものを選択します。特にLIXILの断熱性の高いサッシとしては、サーモスX(UA=1.05)エルスターX(UA=0.79)がありますが、両者の違いは、どのような部分にあるのでしょうか?

窓の選び方 性能から選ぶ

窓の選び方 性能から選ぶ

窓の選び方 性能から選ぶ

窓の選び方 性能から選ぶ

A1:LIXIL
サーモスXもエルスターXも、トリプルガラスを採用しています。3mmのガラスで1.3mmの特殊薄板ガラスを挟んだものが標準です。大きな違いは、ガラスではなく、ガラスをはめる枠の層にあります。

エルスターXはサーモスXよりも、枠断面の空気層を細かく、厚みを持たせることによって、枠の部分の熱貫流率を下げています。同じトリプルガラスでも、サーモスXがUA=1.05、エルスターXがUA=0.79と断熱性能に違いがある理由はそこにあります。

ただし、高断熱住宅を建てられる場合はエルスターXは性能が高い分、価格も高いため、コストを抑えつつ住宅の窓の断熱性能を上げる為に選択する方法としては、

「面積の大きい開口部でエルスターX」、「面積の小さい開口部ではサーモスX」

といったように使い分ける方法をお勧めしています。これは、熱の逃げやすい大きな開口部は、より性能のよい窓を使って頂いた方が良いという考えからです。

窓の枠にアルミと樹脂を組み合わせる理由

Q2:設計
サーモスXは、樹脂とアルミの複合サッシですが、わざわざ断熱性が低いアルミと樹脂を組み合わせる必要性はあったのでしょうか?

A2:LIXIL
これには、いくつ理由があります。ひとつは、樹脂よりも強度の大きなアルミとすることで、枠の見た目を細くするデザイン的な理由があります。

枠の見た目が細ければ、住宅の外観が非常にシャープな印象になります。外観を気にされる方にはオススメです。他にも、外部にシャッターなどを取り付けたりできる汎用性の確保という理由もあります。

アルミと樹脂の複合最大の理由は、劣化を防ぐ処置ということですね

樹脂枠の原料である『塩化ビニル樹脂(通称:塩ビ)』は、耐久性が高いプラスチックではありますが、太陽の紫外線などで全く劣化しないというわけではありません。そういった面で見ると、アルミは、耐久性・耐候性ともに樹脂よりも優れた素材なので、樹脂の断熱性能と合わせることで、より快適で長持ちするサッシを目指しています

現状の最高の窓、どこまでの性能を求めるか

Q3:設計
最近、ファイブガラスで「壁と同じ断熱性能を持つ」というレガリス(UA=0.55)を出されましたが、やはり窓にもこれほどの断熱性能が求められているのでしょうか?

A3:LIXIL
レガリスは、正直なところ、納品される機会が非常に少ない商品です。

価格が高すぎるということが原因の一つですし、オーバースペックな感もあります。

どちらかというと、「売ろう」という感じではなく、メーカーとして「良いものを創ろう」という気持ちで開発した窓なんです。

それでも、一般的な断熱材(グラスウール100mm)を入れた壁のUA値=0.35には、かないませんが…

五枚のガラスにして、やっと断熱材と同じくらいの断熱性能になるので、やはり窓はエネルギーロスの多い部位だということがわかります。

高断熱の窓はどのような選択肢になっていくのか

Q4:設計
今後、日本における窓つまり開口部の展開としては、レガリスのような商品が主流となるのでしょうか?

A4:LIXIL
レガリスは一種のチャレンジでしたので、それが主流になることはまだ考えていません。

実は、日本における樹脂サッシの普及率は、複合サッシを含めても37%と低く、現状、アルミサッシが主流なんですね。それも北の方から順々に普及してきている状況なので、本州もまだまだこれからといった感じです。

弊社の新規開発も、今のところひと段落しています。今後しばらくは、トリプルガラスの樹脂サッシ(サーモスXとエルスター)を普及させていくことが第1であると考えています。

設計
ありがとうございました。

コストダウンのポイントは一つしたのランクを使う

製造メーカーは、今より良いものを!!という気概で日々開発を行っております。

しかし住宅は、様々な場所に作られ、様々な人々が作っています。ある意味、材料としては非常に過酷な環境と言えるでしょう。

その中で最新の商品を企画開発し世に送り出しています。ある意味、メーカーの挑戦でもあります。

こういった挑戦が行いにくい土壌が日本の市場にはあります。

こういった点もサッシの性能が世界に遅れた要因でもあると思います。

しかしながら、挑戦しなければ未来が無いことも確か。

最新の最高性能の商品はどれもはじめは高いです。サッシもしかり。

コストが下がり始めるとき、そしてサッシの使い分け

商品のコストが下がり始めるときは、次の最新商品が出たとき。

もしくは廉価版が出たとき。今のサッシ業界は、性能の勝負がひと段落したころかもしれません。

そのため、性能の良いサッシを使うところと、多少落としても、大丈夫なところをしっかり見極めることが必要です。何でもかんでも最新の商品を入れずに組み合わせを図りましょう

これだけ競争激化の中で、市場も縮小傾向のある建築業界。

価格分の性能値の違いがあるか、これをしっかり見極めましょう

そして、すべてを最高の最新のものではなく、ひとつ前のグレードを組み合わせながら、窓の選択を行えばより効率的なコストの使い方が出来ます。

もちろん寒冷地域の場合は少し設計が異なるので注意が必要です。

サッシ発展途上国であった日本が今、サッシ先進国の仲間入りを果たそうとしています。

住宅の資産価値を守る為にも、日々の生活を快適に過ごす為にも、サッシの選択など、性能とコストのバランスは専門家とよく相談することが重要だと思います。

工場見学の様子は下記に載せています。参考にどうぞ

窓の達人。資産価値は、高断熱住宅。最近では常識の"断熱窓"