こんにちは、房総イズムです。今回は、ホテルの設計案件で、家具一式をコーディネートします。普通は、家具のカタログや展示場などで見繕うのですが、今回は個数も多く、リーズナブルにそろえる為に、輸入の商材を探しにトレーディングの担当の張さんと出張にやってきました。
もくじ
家具を輸入商材で揃えるの適した場合とは・
家具も大切な空間の一部になります。住宅の場合、家具も好みがありますのですが、ホテルなどの非住宅では、家具のコーディネートも大きな要素の一つです。
特に、店舗やホテルなど非日常を楽しむ場所の場合は、空間のストーリー性をとても重要視します。
今回は、国内では、あまりない商材を要望されていたので、全体のコンセプトに合う家具を探して中国へ行ってきました。
中国と言うと、ちょっと質が落ちるイメージがありますが、これは商材によります。『世界の工場』と言うだけあって、様々な商材や良い品質のモノが並んでいますので、なんでもかんでもダメと言うわけではなく、吟味する目が非常に重要です。
輸入に適した条件は3つ
正直、中国だから安いとイメージする事は危険だと思います。豊かになってきている中国において、日本の物価は決して高すぎるというわけではないでしょう。もちろん日本の物価は高価であることは間違いないと思いますが、以前のような価格のメリットは感じられないですし、品質は悪い物ばかりというわけではありません。やはりこの20年でしっかりと世界の工場として成長し続けてきた結果なのだと感じています。
価格だけであれば、日本の国内の商材と変わらない場合も見受けられます。
これは、中国輸入の場合、製品の代金に加えて、中国輸送→海運輸送→国内輸送に加え、関税、税金など、国内生産では掛からないお金が掛かってきます。
概ね、製造原価で考えると工場製造原価に加え1,3倍から1,4倍くらいの経費を見る必要があります。
この価格でも、日本国内にある商品より安ければ、輸入の可能性を検討する事に意味があります。
加えて、中国の商材はロッドが必要になることが多くあります。つまり個数です。
大量購入の場合は、かなり中国商材の価格メリットが出てきますが、個数が必要な事は普通では難しいです。
もう一つ、これはあまり皆さんはイメージ出来ていないかもしれませんが、世界中の様々な物を輸出しているので、中国には様々なデザインが沢山あります。模倣品の商品も沢山あるのですが、見たことのないデザインも時折見つけます。
中国の工場の社長との会合でも、『日本の市場に出ているデザインは古い』と言われました。中国の方は世界のデザインに触れている為、目が肥えていると言えるかもしれません。
たしかに日本に持ち込まれている商材の多くも中国から輸入されているので、カッコいいという目線だけでは、日本も模倣しているのかもしれないです。
話はそれてしましたが、輸入に適した状態とは
1、ロッドがある事、もしくは総量が多い事
2、日本で見かけない商材を探すこと
3、納期に余裕があること
この三点を抑えておけば、新しい発見があるかもしれません。
洗面化粧台は、フロートタイプが多い。IKEAでも良くある商品。
広州の工場にて、家具の選定を行いました。
事前に、要望を言って張さんに工場の選定をしてもらい、工場へ見学に向かいます。中国の工場の多くは地方から出稼ぎで、寮がついている職場です。少し前の日本の工場にそっくりです。
洗面化粧台の選定に訪れたのですが、種類は豊富で、あまり日本に流通していないデザインが多く見受けられます。日本の法律に合ったF☆☆☆☆の商品の取り扱い工場は多くは無いので注意が必要です。今回見た商品の多くは、脚付きの物や、浮いている感じのフロートタイプの商品がメインでしたので、この場合排水に注意する必要があります。
洗面化粧台で、かっこいいなと思うものはこういった床から浮いている物が多く、日本の一般的な排水の床排水では、配管が見えてしまいますので、少し細工が必要です。
IKEAなどでもこういった商品が多いように見受けられます。
日本のショールームの様に、中国にも大きなショールームがあります。ただ規模と数が桁違いです。こちらでも、様々選定しました。人工大理石の洗面台など日本で見たことあるなぁ~と思って担当者に聞いてみたら、やはり、日本に輸出したことがあるとのことで、値段もまぁまぁ良い値段でした。金属の洗面台など、非日常を演出するには面白い商材が豊富です。
オーダー家具、オーダーキッチン
今度は、別のショールームで、オーダーキッチン、オーダー家具の打ち合わせです。事前に日本でデザインした図面を送っておいたので、詳細についての細かい打合せを行います。
商品のクォリティーは決して悪くはないのですが、水栓などの設備機器は日本で選定します。機械類は、基本的に日本の方が良いでしょう。
一般的に、オーダーキッチンが作れる業者は、箱物のオーダー家具も作ることが可能です。そのため、WICのシステム収納家具なども同時にデザインします。
価格も比較的安価でありますが、もっとの大きな特徴だと思うのは、日本で高価な材料が、中国では一般的である事でした。
今回のキッチンの天板は、ストーン系で日本では高価な部類に入りますが、中国では一般的な仕様でした。その為、マテリアルの選定を吟味すれば、高級なキッチンがリーズナブルな価格で手に入れる事ができるのです。
ただ注意したいのが、日本のトレンドと中国のトレンドが異なっているので、良いなと思う面材が見つかるかは、細かい打ち合わせを必要とします。
無垢のダイニングテーブルと樹脂の融合
こちらも事前に、選定していたので、商材の豊富にあるショールームで打ち合わせ。無垢の天板を樹脂で埋める商品で、大断面の木材が無くても、無垢の木材の雰囲気を楽しめる天板です。
今後はこういった、大断面の木材はより枯渇するので、面白い商材の一つでもあります。もちろん、同じ商品は一つもないので、樹種を選定して、後は工場にお願いします。
アメリカ仕様のマットレス工場
昨今の、貿易摩擦ですが、それでも工場は、元気に稼働しています。
各国ニーズが異なり、また厳しいとのことですが、ベットに用いるマットレス工場を訪問です。
中国輸入の場合、コンテナ輸送費も掛かるので、なるべくコンテナをいっぱいにして送るように、商材も一通り選定します。
マットレスの工場は、建築の事をやっていてもあまり訪問する事はないのですが、詳細な機能性を確認し、選定しました。
大連のフローリング工場
広州から大連へ、南から北へ移動です。やはり中国は広い。
気温も26度から6度へ、寒いです。
フローリングの選定は今回の目的ではなかったのですが、どんなデザインの商材が多いのか調査を兼ねて訪問します。
一般的な、ラスティックな感じや、ダメージを加えた商材が多く、また色味もあまり見ないものがあり大変参考になります。ただ日本では今のところニーズはすくないかもしれません。この工場は、やはり日本には輸入が少なく、ヨーロッパ、アメリカが多いようです。
こういったフローリングも目新しいデザインです。左下の単純な幾何学の構成のフローリングは、日本の住まいにも合いそうだと感じます。
追伸
日本の商品は優れていることは、海外に行くと実感します。一方、この優位性がいつまでも続くとは思えない事も実感しました。日々世界の工場として、厳しい注文をクリアする事を繰り返せば、徐々にその差は埋まるでしょう。
お客さんは良いものをリーズナブルに手に入れたいという願望があります。また、見たことのない商品材をコーディネートしたいという方もいるでしょう。
ニーズに合わせた、選定で建築空間は変わるので、今後は、日本の工場にもお邪魔する予定です。